彼女が、なでしこのキャプテンとして招かれ、「バロンドールの澤」として遇される場面は、必ずしも良心的でポジティブな機会だけではない。ある時は、バラエティーの添え物として冷遇され、別の場面では賞イベントの集客フックとして利用され、さらにひどい場合には政治家の集票活動の広告看板として駆り出されることすらある。
が、そうした心貧しいオファーも含めて、すべてを受け入れることが、今の時期の女子サッカーには必要な試練なのだということを、彼女は、去年の夏、ワールドカップを手にした折に、覚悟したわけだ。
だからこそ、「出すぎ」だと言われるリスクを顧みず、「天狗になっている」という批判を甘んじて受けながら、彼女は、メディアの期待する役割を演じ、クライアントが喜ぶ姿で画面に登場することを選んでいる。
見事というほかにない。
このほとんど軽薄と呼ぶにふさわしいほどの付き合いの良さは、キング・カズに通じる。
カズも、オファーを断らない人だ。
おバカなバラエティーや、宣伝丸出しのイベントや、もしかしたらあやしい人がかかわっているかもしれない企画にも、カズは気軽に顔を出す。そして、登場する時には、お辞儀をしながらマイクに鼻をブツけるみたいな、ベタなボケをカマす。素晴らしいタレントだ。
両者に共通しているのは、選手である前に「先駆者」だということだ。
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